Saturday, March 13, 2010

河端亜希子、翻訳家

さて、P4に入り周囲は慌ただしく就職活動をしています。私もしなくては…。

2010年4月、以前から関わっていた専門書「AO法骨折治療 第2版」がついに本屋さんに並びます。この本を翻訳していて様々なことを学びました。

1.原著はいい加減です。外国のエライ先生方が書いた本のはずですが、明らかにおかしなミスが多発します。図の説明の中で「左」と「右」を間違えるのなんてもう驚きません。整形外科学をかじった人間(私)が翻訳していて初めて気付くようなことです。専門的な知識を持ち合わせていない翻訳家ならそのまま翻訳してしまい、せっかく出来上がった日本語版でも左右を間違えたままで訳していることでしょう。とにかく今回、原著は100%信頼できないのだ!ということを発見しました。
2.ビジネススクールでbottleneckという言葉をよく耳にします。これは、一連の流れの中で「律速」している因子を指します。翻訳作業はbottleneckが多すぎてなかなかスムーズに進みません。間に立つ人間を一人でも減らすと作業が速く進みます。今回私がこの本を訳し始めたのは2008年5月頃でした。発売がまさか2年後になるとは…
3.校正や翻訳作業の最終段階はパソコンの画面ではなく、プリントアウトした紙面上でしなければなりません。パソコンの画面はまるで一枚の皮がかぶっているかのように微妙なミスを隠しがちです。やはり昔ながらの「赤ペン先生」をすると一番よい作品に仕上がります。
4.どんなに見直しても完璧な本は出来上がらないかも。教科書にtypo(タイプをしていてつづりを間違えること。正しいつづりは知っているのだが間違えてしまう)を見つけると「プロの編集者がたくさん見直しているはずなのになぜこんな初歩的なミスをするのだろうか…」と昔は思っていました。しかし今回翻訳をしていて思いましたが、案外最後まで残るおかしなミスがあるだろうな~と覚悟しています。

さて、これを読んで下さっている整形外科の先生方、是非本屋さんで手にとってみてください。私は後半の担当でした。もし内容におかしな部分がありましたら私(akiko.kawabata@insead.edu)あるいは医学書院までご連絡ください!

Friday, March 12, 2010

変人

P4の前半は2教科しかなく、なんだか楽な学生人生です。その2教科とも人気教授なのでかなり期待していました。ところが、昨日受けた授業の教授、これまでの人生、幼稚園からINSEADまでで習った先生・教授の中で一番の変人でした。

話は逸れますが、高校のときの物理の先生も変人でした。いきなりヒトラーの話や真似をし、重要な公式を黒板に書いた後に中国製の銅鑼(直径1メートルくらい)をたたいて生徒の注意を引きました。私は「変わってるな~」と思っていつも見ていましたが、卒業後にお会いしたときはセクハラで女子生徒に訴えられ、強制?退官した後でした。私自身その女子生徒とは面識がありませんが、多分先生は先生らしくしていただけだと思ってしまいます…起訴社会アメリカですから気をつけなくてはなりませんね。

さて、物理の先生を上回る変人に昨日出会ってしまいました。

この教授はスペインの出身ですが、英語で行われる授業の大半は普通の社会では使ってはいけないような言葉づかい、言い回しです。英語ではpolitical correctな単語を使用することを学校や社会で習います。日本語でも明治以前は目の見えない人に対して「めくら」などいう呼称がありましたが、ここ100年で徐々に「目の不自由な人」「視覚障害者」などと差別用語は使われなくなっています。この先生はそんなデリケートは言い回しを一切しません。

過去に自分の言葉づかいや授業スタイルを直そうとしてくれた女性生徒に見立てて、ろれつが回りにくいアテトーゼ患者の真似をしながらバカにして話します。犬は暴力をふるうために飼う(蹴るにはちょうどよい高さのところにいる)と言います(動物愛護団体が聞いたら激怒しますよ)。

この先生は自分でも「私はアメリカでは働けませんし働きません」と宣言していました。ま、この人がアメリカで教壇にいたら5分で起訴されること間違いなし。

さて、いったいなぜこの人がこんなに人気者なのか?という疑問の答えを出すためにこの授業を追及していこうと決心しました。

Thursday, March 11, 2010

P4 初日

P4初日です。P3でシンガポールに行っていた同級生の半分くらいが戻ってきています。彼らはみんな"It's good to be home!"と言ってフランスは(シンガポールに比べて)寒いにも関わらず帰ってきたことを喜んでいます。私自身もP3でさびしい思いをしていたわけではありませんが、彼らがいるとなんだか元のキャンパスに戻ったような気がして安心してしまいます。

Wednesday, March 10, 2010

水ですから

先日モロッコに行くにあたり、ひさしぶりにJAL以外の航空会社を利用しました。その中で他の客が飲み残した少量のコーヒーをCA(cabin attendant)がこぼしました。私は洋服と手が汚れましたが、驚いたのがその対応です。

なんとその人は「水ですから」と言ってほほ笑みながら消えていきました。

絶句状態の私は何も言えず、隣の客に「明らかにコーヒーなのに…」と同情されてしまいました。

JALならどのような対応になっていたでしょうか。少々おおげさすぎるほど謝り倒され、急いで手を拭くおしぼりを持ってきてくれ、洋服はきっとクリーニングに出すと言いだしてくれたことでしょう。

「水ですから」と言われた上、ティッシュやおしぼりはなく(主人が自分のナプキンを渡してくれた)、洋服のことは無視です。

JALに甘やかされているとは言え、あまりにもひどい….

それにしてもアジア系の航空会社はサービスが最高です。アジア人はサービスが得意なのでしょうか。きっとどこかの社会学の権威がそこらへんを事細かにリサーチしていることでしょう。

アジアばんざい。

Tuesday, March 9, 2010

お泊り授業

長男が通っている公立小学校の一年生クラスが来週月曜日から金曜日まで「お泊り授業」に出かけます。全小学校でこのような体験をさせてくれるわけではないらしく、子の小学校でもたまたま今年開催することに決めたようです。

今回この「お泊り授業」に行くにあたり驚いたことがたくさんあります:

1.遠い!
2.「授業の一環なので必須です」という案内を受けたにも関わらず子供を参加させない親がいる
3.持ち物リストにserviette de table一枚と書いてあり、布製のナプキンを持参させるのはいかにもフランスらしいけど、約20食のために一枚って少なくないですか?
4.1週間の費用が345ユーロだけど、村役場で60%まかなってくれるので私たちの財布からは138ユーロしか出さない(助かる....)
5.私が聞き間違えていなければ担任+スタッフ2名で1クラス(30人弱)を担当する(多い?少ない?)
6.公立の学校で6-7歳のときからこのような体験をさせてくれる

途中で現地から家宛てに手紙を送ってくれるようですが、フランスの郵便システムはいまいちなので本人が帰宅してから届くことでしょう(笑)。

無事に帰宅することを祈って....

Monday, March 8, 2010

フランスの地域医療

以前も近所のクリニックでの話をしました。続編です。

現在もどうしても必要なときに徒歩1分半くらいのところにあるクリニックに通っています。必要最低限のときのみです。

来院者記入簿はいまだになく、患者は到着してから視覚的な全体像を頭に入れ、自分がいったい誰の後なのかを「あてずっぽう」します。自分が来院した時点で待合にいた人々が全員消えてから初めて次が自分の番だと推測できるなんとも非効率なシステムです。

来週から4泊5日で「お泊り保育」ならぬ「お泊り授業」にでかける長男の喘息薬はやはり日本のものではまずいであろうと思い、先週くらいから受診を試みています。

現在のところ0勝5敗です。クリニックに行ってはみるもののあまりにも混雑しているのであきらめてきているから0勝5敗です。クリニックに記入簿があれば、少し買い物をして戻ってくるとか、家でテレビを見て少し時間をつぶすとかできます。が、記入簿がないので自分の順番は体を張って死守しなければなりません。

さきほども長男を連れて5度目の挑戦に行ってきました。待ち人8人。しめしめ8人だったら夕食前に受診の順番がくるかな...と思ってしばらく待っていました。しかし次の患者が呼ばれるまで30分経った時点で、単純計算であと4時間...今回もあきらめたわけです。

先生方は本当に丁寧に診てくれるし良い人たちです。しかし、先生が受付、診察、書類記入、会計などすべて行っているわけで、とにかく一人の患者に対して時間がかかります。

さて、いつになったら無事に受診できるのか?ついに明日最終決戦となります。9時診療開始に対し、4度目の挑戦では8時20分の時点ですでに10人近く外で待っていたので(単純計算3-4時間待ち)、明日は午前7時45分から外で待つことに決めました。たぶんマイナス1度とか2度の中。防寒着必須。

フランスの地域医療、命がけです。日本の医療が恋しい....

ところで、フランス全国のクリニックに「こういう便利なシステムがあるよ」と記入式を紹介したら国民栄誉賞がもらえるかもしれません。